もみほぐしなどを通してお客様の心と身体に癒しを与える『リラクゼーションセラピスト』という仕事ですが、マッサージ師と同じ職業なものの、呼び名が違うだけと思い込んでいる方は多いです。
しかしリラクゼーションセラピストとマッサージ師にはいくつかの大きな違いがあり、この二つは似て非なる職業です。

“Relaxation”とは、緊張を緩める・くつろぎ・力を抜くといった意味を持ちます。
単語の意味の通り、リラクゼーションセラピストは、お客様の心と身体に癒しを提供することを目的とした施術を行います。
まず、リラクゼーションセラピストになるために必須な資格はありません。
養成スクールや民間資格は存在するものの、特定の資格が必要という事はありません。
そのため全くのセラピスト未経験者でも、店舗の事前研修で基礎的な技術を学び身に付けることができれば、店舗でお客様に施術をすることができます。
リラクゼーションセラピストになるには、未経験者でも応募が可能なサロンの求人に応募するのが最短ルートと言えるでしょう。
本当に何の知識もないまま応募しても大丈夫なのかと悩まれる方がほとんどだと思いますが、入ってすぐお客様の施術をするという事はなく、まずは事前研修で技術を身に付けることからスタートします。
決まった資格が必要ない分、民間資格を持っているとセラピストとしての強みにもなるため、働きながら勉強してセラピスト向けの民間資格を習得するリラクゼーションセラピストも多いです。

決まった資格の必要ないリラクゼーションセラピストに対して、マッサージ師はあん摩マッサージ指圧師の国家資格が必要になります。
まず、この資格の有無がリラクゼーションセラピストとの明確な違いです。
あん摩マッサージ指圧師の資格は国家資格の為、通信講座や短期資格習得講座などでは習得することはできません。
文部科学大臣指定の学校か、厚生労働大臣指定の養成施設で三年以上通学して学ぶ必要があります。
そして三年以上学んで初めて、あん摩マッサージ指圧師の国家資格試験を受験する権利が得られるのです。
マッサージ師と名乗れるのは、そのあん摩マッサージ指圧師の国家資格を持った人のみ。マッサージが行えるのもマッサージ師のみなのです。
そのため、無資格の人がマッサージを行う・マッサージ師を名乗ることは違法行為にあたります。
マッサージ師とリラクゼーションセラピストは働くことの出来るフィールドも異なります。
マッサージ師は国家資格を保有しているため、リラクゼーションサロンはもちろんのこと、病院や治療院、整骨院などに勤務することが出来ます。
対してリラクゼーションセラピストは治療に当たる施術は行えない為、街のリラクゼーションサロンや温泉施設やスパなどに併設されているリラクゼーションサロンに勤務します。

そもそも、マッサージというのは治療行為という扱いになります。
腰痛や肩こりなどの身体の不調を、治療することが出来るのがマッサージ師なのです。
リラクゼーションセラピストはそれらを改善させる施術や、完全に治療する施術は行えません。

簡単にまとめると、リラクゼーションセラピストは『お客様』に『心身の癒しを与える』ための施術を行い、マッサージ師は『患者』の『身体の不調を治療する』ための施術を行っています。

マッサージ師とリラクゼーションセラピストは資格の有無の違いだけでなく、施術の目的が大きく違うことも分かります。
こうして比べてみると思っていたより明確な違いのある職業だということがお分かりいただけたと思います。
マッサージ師としての国家資格を持っているというのは、自信にも周囲の信頼にも繋がってきます。
しかし、専門学校へ三年以上の通学など、金銭的・時間的な問題がかなりネックになります。
その点、リラクゼーションセラピストは資格がなくても、未経験からでも始めることが出来るのは大きな利点です。
マッサージ師とリラクゼーションセラピストは二者択一というわけではありません。
リラクゼーションセラピストとして働きながら、あん摩マッサージ指圧師の勉強をしたり、夜間専門学校へ通ったりもできます。